テヌート! [アーティキュレーション]
一番基本的なアーティキュレーションといえばテヌートです。
管楽器にとって最も簡単で、だからこそできなくては恥ずかしいものの一つです。
テヌート 【tenuto (伊)】
音の長さを十分保って演奏すること。
…辞典の説明ではちょっとピンとこないんですよね。
音の長さは音符で表されている長さ以上でも以下でもありません。
管楽器では少しイメージを変えたほうがいいかもしれません。
ではどうなるかというと、音量を保つということです。
練習してみましょう。
①まず、まっすぐ音をのばすことができなくては話になりません。
安定したブレスとアンブシュアで演奏しましょう。
図にすると下のようになります。
②音をまっすぐのばしたままタンギングをします。
このときの音の形がテヌートです。
最初から最後まで音量が変わらない形です。
途中で大きくなったり小さくなったりしないようにしましょう。
テヌートと指示があったらこのように演奏するのですが、何でもかんでもこのようにすればいいわけではないのが悩みどころです。
どんなところがかというと…
①上の図を見ての通りテヌートの音の形は音の終わりに特徴があります。
この形、唐突に音が切れるのでフレーズの最後ではあまり美しくありません。
こういうところでは少しマルカートに近い形のほうがふさわしいと思います。
テヌートの指示があるからといって無理に形を作るのはやめたほうがいいでしょう。
もっとも、人は急に息を止められないので舌やのどで音を切らないように注意していれば大丈夫です。
②作曲者によってテヌートの意味に違いがあります。
基本的な意味は同じなのですが、その見分け方は経験が必要です。
最も多いパターンはテンポを落として音を長くする、というものです。
他にもアクセントとしての意味を持たせることもあります。
普通のアクセントとはもちろん違います。
より大事な音の指標として使われます。
その音、形はテヌートにした上で少し大きめに演奏するといいでしょう。
これらの使い方は他のアーティキュレーションや装飾音符にもいえますが音符に何か付いたらいつもの音と違うわけだから強調し、さらに大事に演奏するべし!ということです。
アーティキュレーションとは? [アーティキュレーション]
アーティキュレーションを音楽辞典で調べると…
アーティキュレーション 【articulation (英・仏)】
旋律などをより小さく区切り、音の形や強弱を変化させ表情をつけること。
…とかなり要約しましたがこんな様なことが書かれています。
吹奏楽においてはテヌート、スタッカート、マルカート、スラーなどが基本的なアーティキュレーションとなります。
演奏においてこれらの違いをはっきり表現しわけることを一般にアーティキュレーションを付けるといいます。
アーティキュレーションはほとんどの場合譜面に書かれていますのでよく注意して見落とさないようにしなくてはいけません。
テヌート、スタッカート、スラーには記号があります。
これらは記号を使わずに書かれていることもあります。
テヌート → tenuto または ten. など。
スタッカート → staccato または stacc. など。
スラー → slur など。
これらを見落とさなければOKです。
マルカートには特定の記号がありません。
marcato または marc.
と書かれていればマルカートです。
いかなる音の形のことでもアーティキュレーションというので、全ての音にアーティキュレーションがついているといえます。
だからこそ全ての音のアーティキュレーションについて考えることが必要になってきます。
適当に演奏していたのでは適当なアーティキュレーションになってしまうので音楽全体が適当で意図しないものとなってしまいます。
譜面上の音符に何もかかれていない場合は自分でアーティキュレーションを決めなくてはなりません。
このとき、テンポの速い曲はマルカート、遅い曲はテヌートを基本とします。
何も書かれていないからといってアーティキュレーションは関係ないわけではありません!
アーティキュレーションは確実な形があるわけではなく非常にあいまいな形をしていることも多々あります。
例えばスタッカートとマルカートの中間ぐらいの形など。
記号や指示語で特定のアーティキュレーションが書かれていてもあえてあいまいにすることも時には必要です。
それらは演奏する音楽の目的に沿った意味のあるものでなくてはなりません。
どのように演奏するのか指揮者やプレイヤーの音楽的センスが問われます。
いい音楽をたくさん聴いてセンスを磨くことが大切です。